オリジナル小説 #4
想い
そこに写されていたのは、双葉さんとのLINEのトーク画面だった。
ひゅうがは、ダメ元で遊びを誘ったのだが双葉さんはその誘いを快くOKしていた。
僕は、頭の中が真っ白になっていた。ずっと双葉さんのことが好きだったのに、一瞬でいつもの双葉さんがいなくなる気がした。
横では、ひゅうががものすごく喜んでいる。僕はただただ固まっていた。
「マジで嬉しい!最高!」
と、僕に話しかけてきた。僕は
「あぁ、、そうだな。おめでとう。」
その言葉を出すだけで精一杯だった。深く、胸の奥まで刺されたかのような痛みがあった。
目から出てきそうになる、熱い何かを必死に抑えてトイレへ向かった。
そこに籠ると、目から出てきた熱い何かを拭うのに手いっぱいだった。
別にこれが、仲良くない人とかだったら恨んだりするだけで済むがひゅうがは親友だ。その関係がさらに僕の気持に苦痛を与える。
この先、どうすればいいのかわからなくて途方に暮れていた。
僕は、それからあることを決心しトイレから出てひゅうがのいる部屋に向かった。
「お待たせ!」
「おせーよー(笑)トイレで何してたんだよ(笑)」
そんな何気ない会話が続く。その後も、一通り色んなことをやって楽しんだ。
そして、夜が来た。
「今日はほんとにありがとな。楽しかったよ。」
とひゅうがは照れくさそうに言った。
僕は、(俺も)とだけ言って家の方向に歩いて行った。
外は、とても暗く街灯も少なかった。そして、風が吹いていて寒かった。
そうして、僕は20分ぐらい歩いて家に着いた。
「どうだった?泊まり楽しかった?」
お母さんが、僕に聞いてきた。
「まぁ、楽しかったよ。」
僕はそう答えて、使った服などを洗濯機に入れた。そしてある程度片付けが終わったので、自分の部屋に行った。
僕は、ベットに寝転んだ。マットが僕の体の形に合わせて、形状変化していく。
僕は吸い込まれていくようにその感触を味わっていた。
(双葉さん)この言葉が頭から離れない。どうすればいいのかそればっかり考えている。
さっき決心したとはいえ、それを実行することはなかなかできそうにない。
そう、双葉さんを忘れることなんて簡単にできない。
例え、忘れようとしてもひゅうがはこれから僕に相談してくるだろう。
結局、どんな案を思いついても四方八方塞がれていて解決策がずっと見つからない。
天井を見上げながら、ぼーっとする時間をただ過ごしている。
「今日は長い夜になりそうだ。」
そう呟き、僕は目をつぶった。