オリジナル小説 #8
「想い」
「双葉さん、、、。こんなところで何してるんですか?」
僕は、目を見ながら問いかけた。
「それは、こっちのセリフだよ。しかも、そんなあざだらけで何があったの?」
僕は、このことがバレたくなかったからただ派手に転んだだけと伝えた。
そう伝えると、双葉さんはすぐに水道の方に連れて行ってくれた。
でも、こんなところをまたひゅうがに見られたらまずいと思い僕は大丈夫と伝えた。
双葉さんは、それでも一緒に水道で手伝ってくれた。
僕は、バレたらまずいという危機感と双葉さんに申し訳ないという気持ち、そして双葉さんが今近くにいることへの嬉しさなど様々な気持ちがお互いに交差しあっていた。
今にも、頭がパンクしそうだった。
「ありがとう、、。ほんとにありがとう。」
ただその言葉だけを、双葉さんにかけていた。
僕は、泣きそうになっていたが必死に抑えていた。
そして、洗い終えてから2人でベンチに座った。
「大丈夫?」
「うん!ありがとう」
僕は、この距離で双葉さんがいることが未だに信じられない。
「夜空綺麗だね」
双葉さんは、夜空を見上げながら言った。
僕が、さっき1人で見てた夜空とは違う。
今は、凄く綺麗な星たちが夜空の中にいて美しい作品になっていた。
夜空を見上げていると、双葉さんは何かを言いかけたが言うのを直前でやめていた。
でも、僕はその時深堀はしなかった。
ただ、2人で夜空を眺めながら時間が過ぎていく。
さっき点滅していた街灯も、今では光をしっかり放っている。
「やばい!もう、10時だ!」
双葉さんは、焦っていた。僕もすぐに帰る準備をし始めた。
「こんな時間まで付き合ってもらってありがとね。ほんとに助かった。」
そうやって、双葉さんに言った。
「いや、こちらこそありがとね!」
双葉さんは、笑顔で僕を見ながら言った。
そして、お互い公園を出て自分たちの家の方向に向かった。
今日は、ひゅうが達に全身あざだらけになるほど暴力を振られたのに何故かそれを忘れてしまうほど嬉しい出来事だけを思い出す。
僕は、お母さんにも派手に転んだだけ。と説明して、なんとか乗り越えた。
僕は、あざのできたとこには湿布を貼った。
家にあった湿布は全部使い切ってしまい、足りない部分は氷で冷やした。
僕は、明日ひゅうがに謝ろうと決めて眠りについた。